【Science, Technology, and Innovation in the Foreign Policy of US and Japan】第56回(2021/05/21 )無名塾(オンライン)開催 講師:ウイリアム・コルグレイザー博士

講師:ウイリアム・E・コルグレイザー博士

AAAS米科学振興協会Senior Scholar、Science & Diplomacy編集長、ジョン・ケリー元米国務長官の科学技術補佐官、国連事務総長科学技術アドバイザー10人委員会初代共同議長(国連で定めたSDGs推進のための委員会)】

 SDGs、デジタル時代における日米協力、科学と外交、また次世代の人づくりについて話題提供して頂き、産官学からコメント・質問が多数ありました(内外から79名参加)

<塾僕武田のコメント>

ビル・コルグレイザー博士は、私の30年来の友人であり、私のメンター(mentor:良き師)でもある。1990年当時、私はもう一人のメンターであるテネシー州立大学(UT)のラマ―・アレクサンダー学長(テネシー州知事の後同大学学長に就任。その後、米教育長官、共和党上院議員を歴任)から学長補佐を頼まれ、日本の大学を休職し、赴任した。当時、コルグレイザー博士は、環境エネルギーセンター(Center of Excellence)責任者。また、このCOEは、UT、オークリッジ国立研究所(ORNL)TVA(Tennessee Valley Authority)の連携での運営であった。

30年前には米国でもInterdisciplinary (学際的)な研究を行う研究所は珍しくまた、異なる機関が連携で運営するものもほとんどなく、私はコルグレイザー博士のオフィスを度々訪ね、多くの質問をした

その後、博士は、国立科学アカデミー(National Academy of Science)のエグゼクテイブに就任し、UTを離れた。科学アカデミーの手足である米国立研究評議会(National Research Council)CEOを17年間務めた。NRCの予算は米議会から直接支給される、数百人のスタッフ・研究者で数多くのテーマで研究調査を行う機関である。多くの分野でのシンポジュウムを主宰し、年間200通余りのレポートをだし、また、出版をしている。この後、博士は米国務長官の科学アドバイザーに任命され、その後は国連事務総長にSTI(科学技術とイノベーション)やSDGsについてアドバイスを行う10人委員会の共同座長に就任した。現在博士は、AAASの上級フェロー、また雑誌“科学外交(Science&Diplomacy)の編集長でもある。これで分かるように、コルグレイザー博士は、世界でSTISDGsを推進し、科学外交の重要性を説いてこられた。事実、博士の尽力によって日本をはじめ、多くの国の政府機関に、科学技術顧問が設置されている。

テネシー大学の話に戻ると、私のボスであったアレクサンダー学長は、ブッシュ大統領(第43代)から米教育省長官に任命され、UTを離れた。この後、私もUTを離れ帰国した(なお、同学長は教育小長官の後に、上院議員で今春まで共和党上院議員)が、同博士との関係は一層増した。私はライフサイクルアセスメント(LCA)、原子力、産学連携、デジタルイノベーションハブ、サイバーセキュリテイ等を日米で進めるべきだと思い、同博士を時々のオフィス、NRCや科学アカデミー、国務省、AAASに訪ね、アドバイスを受けてきた。博士は適切な関係者、機関を紹介してくれたばかりでなく、私の考え方をブラッシュアップしてくれた。

4年前にトランプ氏が大統領に選ばれた。この時に、日本の研究者の中に、トランプ氏は科学の価値に懐疑的であり、また、友好国に敬意を表さないのではないかを心配するものがでた。私はこの時にも同博士を訪ね、二つのことで合意した。一つは日米にはプランAだけでなく、いわゆるプランBが必要であること、他はこのような時にこそ、エネルギー環境、そしてデジタルでのイノベーションには中国のシステムより日米などの民主的なシステムの方が優れたことを実証する必要があること。そのためには、日米のトップに誰がなろうと、連携を示す体制づくりが必要なことである。

本年1月にバイデン政権が誕生し、4月には菅総理が同政権の最初の海外からの賓客(first foreign dignitary)して訪米した。幸いにして、バイデン大統領と菅総理は、クライメイトチェンジやエコノミック・セキュリテイで日米連携の促進で合意した。今後、いかにこの合意を日米で推進していくかが大きな課題となる。本日は、コルグレイザー博士に3つのことを話してもらいたい。第一は、日米で国連をもり立てSDGsをどう進めてゆくか、第二は、日米科学協力の取り組み方、当然エコノミック・セキュリティを含んでのことだが、第三に、中国との競争は長期、それこそスーパーマラソンになるだけに、どのようにして若い世代の教育を行うか、である。本日のモデレーターは、JST(日本科学技術振興)の白木澤理事と経産省通商政策局の門室長にお願いした。それではよろしくお願いします。