「米国におけるAI医療の現状と日米協力について」第77回無名塾(6月15日開催) 講師:藤田 浩之氏(Canon Healthcare USA 会長,クリーブランド・クリニック・ヒルクレストホスピタル理事会理事長)

<冒頭挨拶 塾僕>
本日は、クリーブランド・クリニック、その中でもヒルクレスト病院とメンター病院の理事長、そしてキヤノンメディカルUSA会長である藤田浩之先生をお迎えし、AIと医療のテーマについてお話を伺う。藤田先生は、アメリカで博士号を取得した後、医療機器分野でベンチャービジネスを立ち上げて大成功を収め、その後も医療・大学・産業界の第一線で長く活躍している。また、オハイオ州立大学の理事会理事長も務めている。

 

私が藤田先生と初めてお会いしたのは、オハイオ州立大学の研究者グループから相談を受けたことがきっかけである。当時、そのグループはNASAの宇宙プロジェクトを進めようとしていたが、実現には大学トップの理解だけでなく、理事会の支援が不可欠であった。

 

理事会は大学の運営にとって非常に重要であり、日本で想像される以上に大きな役割を担っている。共通の知人を通じて藤田先生に協力をお願いした結果、研究者グループは理事会からの支援を受けることができた。この宇宙プロジェクトはその後大きく発展し、現在ではNASAとの大規模な共同プロジェクトへと成長している。また、当時相談した研究者は、現在、大学全体の研究を統括する副学長として活躍している。

 

この経験から、米国では研究者の問題意識とそれを支える大学経営者が結びつくことが大きな成果につながると考えている。それ以来、私は藤田先生に日米のデジタル協力についてさまざまな場面で支援をお願いしてきた。本日は宇宙ではなく、医療分野におけるAIについてお話しいただく。

 

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が定着したが、その本質は個々のITやクラウド技術の導入ではなく、それらによって企業や組織、社会の仕組みそのものが変革されることである。多くの専門家は、AIがDX以上に大きな変革をもたらすと考えている。医療分野においても、診断、画像解析、創薬、病院経営などあらゆる領域が変わるが、それだけではなく、医療の在り方そのものや、社会が医療をどのように支え、活用していくかという仕組み自体が変わっていくであろう。

 

世界有数の医療機関であるクリーブランド・クリニックの中核病院ヒルクレストの理事長として、また米国の医療産業の最前線を見てこられた藤田先生の話は、皆にとって非常に示唆に富むものになると考える。

 

<総括 塾僕>
本日の議論から、AIは医療において不可避のテーマであり、我々が直面している現実であると強く認識した。

 

日本人は学ぶ力を持っているが、単に学ぶだけでは不十分であり、新たなルールを作る側に回らなければならない。そうでなければ、デジタルあるいはAIの分野において主導権を失う恐れがある。

 

現在、政府、省庁、産業界、大学がそれぞれ取り組みを進めているが、より連携を強化する必要がある。とりわけ大学と医療現場が連携し、議論の場を継続的に持つことが重要である。

 

日米連携の枠組みも含め、国際的な協力の中で日本の医療とAIの発展を進めていく必要がある。今後も継続的に議論を行い、具体的な行動につなげていきたい。