【Open Source AI】第75回無名塾(12月10日開催) 講師: Jim Zemlin, Executive Director,The Linux Foundation

【塾僕武田の冒頭挨拶】
ジム・ゼムリン氏は、世界のオープンソースを率いるリーダーである。しかしLinux Foundationは、単にLinuxを支える団体ではなく、クラウド、セキュリティ、AIをはじめ、世界のデジタル基盤そのものを支える数多くのプロジェクトを束ねている。そして、新たに「Agentic AI Foundation」を立ち上げた、とジムから聞いているが、まさに歴史が動いている瞬間である。そのような多忙な状況の中で、私たちと時間を共有していただけることは、私たちにとっても大きな意味がある。

日本でもAIに関する重要な決定が動き始めた。予算措置も整い、本格的な取り組みの局面に入りつつある。大学における基礎研究は重要である。しかし、いま世界が直面しているのは研究だけではなく、実装である。AIは、単なる便利な道具ではない。産業構造、社会構造そのものを変える力を持っている。
私はこれを「AIトランスフォーメーション」と呼んでいるが、米国ではすでに実装段階で先行し始めている。日本の繁栄を維持するためには、AIトランスフォーメーションの「第一グループ」に入らなければならない。DXがそうであったように、追いかける立場では先行利得の機会は失われる。

AIトランスフォーメーションは、DX以上の大きな変革をもたらすと言われている。ジムが語る未来は、日本にとっても実現すべき未来である。 AIバブルは本当にバブルなのか、Agentic AIはどこへ向かうのか。 そしてオープンソースは、この変革の中でどのような役割を果たすのか、ジムからビジョンをお聞かせいただきたいと思っている。

【塾僕武田のコメント】
日本ではAIの将来を比較的楽観的に捉える傾向があるが世界では必ずしもそうではなく、課題やリスクについても真剣な議論が続いている。例えば、最近MITとオークリッジ国立研究所(ORNL)が共同で行った「Project Iceberg」と呼ばれる分析がある。これは、現在のAIの水準でも米国の事務職にどのような影響を与えるかについて検討している。その結果、約2,000万人の事務職が何らかの影響を受ける可能性があると示されている。この数字も“アイスバーグ”(氷山)で水面上に見えている一部にすぎなく、水面下には、まだ大きな変化と課題が潜んでいるという意味である。

このように、AIの影響は、私たちが今、目にしている範囲をはるかに超える可能性がある。政府、企業、大学は利便性だけでなく、雇用や制度設計といった社会的影響についても、今から備える必要がある。一方で、AIはすでに多方面で活用が始まっている。またエージェント型AIは、さらに発展する可能性を秘めている。AIを推進すると同時に、その安全性と信頼性をどのように確保するかについても日米で協力して議論していく必要があろう。