【NTT DATAの世界戦略】第71回無名塾(12月19日開催) 講師:佐々木 裕 氏 (株式会社NTT データグループ代表取締役社長/ 株式会社NTTデータ代表取締役社長)
◆冒頭挨拶◆ 塾僕 武田
第71回の無名塾を迎えたが若い学生の方々にも今回参加してもらうことにした。日本の将来のためには、若い世代がしっかりと成長し、世界で活躍できる人材になってもらいたい。本日の講師はNTTデータ及びNTTデータグループの佐々木裕社長にお願いした。「日本が世界に対してどのように発展していくのか」という大変重要なテーマについて話して頂く。昨日、ある会合があり、そこで外務省幹部の方が日本の外交でも「基本をもう一度考える時期にある」と述べておられた。まさにその通りだと思う。日本が世界で今後どのように成長し得るか、私たちは基本について自分たちの立場を改めて認識しなおす必要がある。これは単に日本がITの遅れをどう取り戻すかということではなく、むしろ私たち日本、そして日本人が持つ力の基本、かつて世界で活躍していた術―を確かめることでもある。それを踏まえて、これから急激にデジタル、IT、ChatGPT、QIS(量子情報科学)等が発展していく中でどのような戦略を日本は立てるべきなのか。
一つの例として、AIは大きなエネルギーが必要で、AIの発展にはデータセンターが重要になる。私の知る限り、NTTデータグループはすでにアメリカを始め、世界を視野に入れたデータセンターの事業展開をしている。このような状況を踏まえ、佐々木社長には、NTTデータグループがデータセンターだけでなく、次の時代を目指す「」として、世界市場でどのような新たな構想を持ち、グループを牽引しているのか。これまで日本の企業、そして私たちがあまり意識してこなかった「世界戦略」について話をしていただく。
◆講演後のコメント 塾僕武田◆
時代が大きく変革しているのは間違いない事実だと思う。この中でトランプ次期米国大統領が偉大な大統領として歴史的に評価される可能性さえあると感じている。彼が発表、指名したトランプ2期政権の閣僚人事をみても考え抜いた跡がうかがえる。これについては、2016年の大統領選で共和党の選挙マネージャーであったケリーアン・コンウェイ氏が「トランプ氏はシンプルなマインドをもつ、複雑な人物だ」と評しているが、確かにシンプルに見えるが考え抜いて発言している可能性がある。事実、アメリカの中には彼を高く評価する人たちが増えてきている。デジタルでも彼の周りには副大統領に就任するJ・D・ヴァンス氏、イーロン・マスク氏、シリコンバレーの起業家ピーター・ティール氏等、いわゆるデジタルでのスーパースター集団ができているが、彼らが何をもたらすか、注目すべきである。
特に、アメリカでは、これまで私たちが信じてきたグローバル化や貿易の自由化に疑問を持つ人たちが多くでているということである。私たちが否定してきた重商主義や保護主義、あるいは一国主義の流れがより強くなるが、これらの動きに対して日本はどう対応するか再考する時がきているようだ。
その一つに、日本の教育もあるかもしれない。OECDが国際的に15歳児を対象に行う国際学習到達度調査(PISA)がある。これは読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの調査だが幸いにも日本はトップグループにあり、この教育はできている。しかし、あまり知られていないが国際成人力調査、PIAAC(Programme for the International Assessment of Adult Competencies)という成人の読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力を行う調査もあり、この結果では残念ながら日本では25歳をピークに下降している。世界の中でノルウェーなどの国では35歳以降、40代まで向上していることから日本では成人教育が十分とは言えないようだ。この課題についてもぜひ一緒に考えて頂きたい。その時がきていると思う。