著者から本の紹介について

率直に言って私は本を多産する能力はなく、私の本分は行動で示すこと、実学にあると考えています。
1975年に「崩壊するエネルギー文明」を出版した後、何冊か潮目が変わる時の人づくり、産学連携や政学連携の重要さを訴え、本を出してきました。
絶版となっているものもありますが、ご参考までにこれまで出版した本の内容を簡単に紹介します。

崩壊するエネルギー文明『崩壊するエネルギー文明:再点検(リビジット)』
―有限な地球でどう生きるか(三六年目の点検)
武田修三郎(著)
(2011年11月宣伝会議出版)

小林栄三、小枝至の推薦文
『崩壊するエネルギー文明:再点検(リビジット)』 ―有限な地球でどう生きるか(三六年目の点検) 武田修三郎(著) (2011年 宣伝会議出版)  この本のオリジナルは、1975年に私が34才の時にだしたものです(当時、経団連の土光敏夫会長に 表紙の帯を書いて頂きました)。
当時、私はうっすらとですが時代の潮目が存在することに気づき、これを「無限から有限へ」と考えました。
これまで「無限の石油」を前提とした時代は去り、「有限」を前提とした時代への変化があると。

 当時、誰もが石油は無限、ただ同然だと考えていました。
これは、原子力分野でもそうで、原子力には原発の核分裂だけでなく核融合がありますが、誰もがすぐ 原子力の時代が来ると考えていました。風力や太陽エネルギーも同様で、無尽蔵で無公害、コストは高いが いずれ科学技術の発達で解決できると考えられていた。
ただ、私はそうではなく、これらは石炭や石油と同じように公害を生み出し、コストも高く、科学技術の発 達によりある程度は可能だとしても、それだけでは解決はできない、限界がある、と考えていた。

 ボールディングが指摘した通り、宇宙船地球号という前提で人口、環境、資源問題を考えなければなら ない、そうでないと、やってもやっても一向に進まないトレッドミル地獄に陥る、と(本の表紙にはその象 徴としてトレッドミルの絵を使いました)。
実は世界の知識人たちも、例えば、ベルは「脱産業化」、トフラーは「情報化の波」、ガルブレイスは「不確 実性」と、この潮目を表現している。 また、「知識化社会」、「スマート化」、「グローバリゼーション」という 言い方もされていますが、喩え方は違っても、同じものごとを見て、それぞれの異なる表現をしただけであると 考えている。

 この潮目は決して消え去ることはなく、逆に1980年代末のベルリンの壁崩壊後には急に近づき、世界 を巻き込みだした。この後、経済は世界規模へ拡大と同時に不安定化し、世界での環境問題の顕在化、 資源や領土をめぐる対立が目立ちだした。これを世界の先行きが見えなくなったとするか、新たな世界 の流れが始まったとすべきか、は時代観を有しているかどうかで決まります。

 私は、時代は決して不動ではなく、時代も時として変わる、という時代観を持っている。
既に述べたように、来るべき時代の本質は、「世界はフラット」、つまり“人間の能力は国による差はなく、 基本的には同じである“と考えている。これまでの欧米や日本が主役の民主制から、世界のあらゆる ものが主役の民主制へのシフト、流れとも言えます。

問題は、日本では、ものごとの本質が十分に理解されていないことにある。いつの時代にも時代錯誤は、 没落を伴います。例えば、日本はそれまでの高度成長から一転し、長期にわたる経済低迷、政治不信、 そしてついには社会的先行不安を抱える状況に陥った。

2011年3月の東北大震災の津波、そして福島原発事故による放射能問題から、エネルギー問題、 原子力発電の是非といった問題をもたらし、一層の混沌化の中にある。

 私は、1975年に最初の「崩壊するエネルギー文明」を出版しましたが、その後、私が気づいた潮目が現実 のものになっていることを多くの人に気づいてもらう必要があると確信し、36年後の2011年にリメイク版として 「崩壊するエネルギー文明―再点検」を出すことを決意しました。
この36年は長く、本来なら大幅に手直しをすべきですが(例えば、当時世界の人口は38億人、 2011年10月には70億人突破)、手直しは最小限にとどめ、その代わりに日本の再生への道は、 育人研心(心を研ぎ、新しい時代で活躍する人財を育む)しかないという考えを加筆しました。

有り難いことに、メールや手紙で『36年前の本なので古いと思っていたが、驚くほどの新鮮さを感じた』、 『これほど明確にシグモイド曲線を使って、さまざまなエネルギーや資源の限界性の問題を結論から論じ ている著作はないのではないか』、『大きな意味で技術から見た文明史を感じた』、また、アマゾン書評にも 「日本のすべての人に読んでもらいたい」という有難い感想も頂きました。
一人でも多くの方々に読んで頂き、少しでも日本の再生へのきっかけになれば幸甚に思います。

フロニーモスたち(心を研ぐ)『フロニーモスたち(心を研ぐ)』
武田修三郎(著)
(2009年1月宣伝会議より発売中)

金澤一郎、丹羽宇一郎の推薦文
どうして、世界の歴史の中で、一定の時と場所にフロニーモスな人たちがでたのか、その背景探しというか、知的探訪が内容です。
古代ギリシアやローマ、そして中世のイスラム、またルネサンス以降の西欧、あるいは明治の日本や第二次大戦後の“戦後という国”でも 数多いフロニーモスたちがでて、国づくりに励んでいます。

 これを書いた理由は、日本の再生の道は、「知の復活」にある、その為には、どうしても一度知的なトリップを行う必要があると考え、 無謀にも哲学や人類の歴史といったものを見てみようと思い、この本をまとめました。
その作業を通じて、フロニーモスたち(イノベーションを導く人)には共通した知性と言える一面があることが見えてきました。

 それは理を持ってものの考え方をすること。そしてこの考え方は、天性のものではなく、ソクラテスを初めとするギリシア人が発明したもので、 教育により育まれるものだということを確信しました。また、江戸の日本人たちもこの思考を発明する一歩手前まで行っていました。
それが明治への起爆力となった。また、戦後という国では、この思考を大事にする風土がまだ残っており、それがデミングの偉大さを 評価するフロニーモスたちにつながったのだ、と考えています。

 私は、脱ガラパゴス化のためには、技術や先端産業にとらわれず、まず心を研ぐ必要があると確信しています。
なお、「フロニーモス」とは、あくまで実学を大事にするということで、先端研究を行う学者や研究者をさすものではありません。
それこそ人間は過ち多きもの、また自然は奥深いことを知り、世界のどの高等宗教も述べているように、「他を許す」ことが出来る人たちを指します。
間違いなく、このものの考え方は、教育で到達できます。

心を研ぐ力『心を研ぐ力』
武田修三郎+日本産学フォーラム(編著) 豊田章一郎(監修)
(2009年3月宣伝会議より発売中)

宣伝会議の推薦文
「心を研ぐ力」の紹介と購入ができる宣伝会議HPへ
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産学連携から人づくりへ『産学連携から人づくりへ』
豊田章一郎、近藤次郎、吉川弘之(監修)

武田修三郎、日本産学フォーラム(編著)
(東洋経済新報社 2007年)

デミングの組織論-「関係知」時代の幕開け『デミングの組織論-「関係知」時代の幕開け』
武田修三郎(著) (東洋経済新報社 2002年)

京都大学松本総長推薦 平成22年1月14日朝日新聞記事PDF
デミングを知るきっかけ(資料PDF)


1990年から1992年にかけてテネシー州立大学副学長およびコンピュータサイエンス特別教授に在籍 中に、大学内外の人たちから品質管理やそれを戦後の日本に伝えたデミング博士について多くの質問を受け、 この時初めて、私は品質管理とは何か、デミングがどのような考えをもっていたのか、当時の日本人たちは デミングの教えにどう反応したのか、日本が達成した高度成長との関係等について学ぶことになりました。
また、テネシー州立大学にいる間に、アメリカでは学長と企業のトップがフォーラムを作っていることを知り、 米産学フォーラムに出席する機会がありました。この経緯は日本に帰国後、日本産学フォーラム(発足名称:産業技術等に関する 国際交流委員会)の立ち上げに参画することになりました(関連資料添付)。デミングの概念の勉強は日本に帰国後も続き、 その全容がわかってくるにつれて、戦後の日本の高度成長の理由がここにあったと考えだしました。 
このことをまとめ、「デミングの組織論―関係知時代の幕開け」を2002年に出しました。

 しかし、その後日本でガラパゴス化がおきたのは、デミングの概念の奥深さを知らず、これを単に道具 や手段として受けとめだしたことにあるのでは、と考えています。
これについて、私は興味ある経験をしました。私の知人にノキアの女性幹部がいましたが、 当時のノキアは飛ぶ鳥を落とす勢いだったのですが彼女から、トヨタの関係者を紹介してくれないかと言う 相談がありました。彼女はノキアで品質管理を担当しており、更にトヨタから学びたいという相談でしたが、 私はそれよりデミングの考えをより深く学ぶべきだ、と話したところ、彼女の意見は、いやデミングの考えは 概念だけで、トヨタはそれをちゃんと手段化した、だからトヨタとの接点を持ちたいとの主張でした。
日本とフィンランドは共通点があるとよく言われますが、彼らもデミングの考えの深遠さに気づかなかったのか、と。 その時の私は、漠然とですがノキアの限界を感じました。

何れにしても、私はデミングの概念を世界に先行して導入した日本人たちを20世紀にでた“フロニーモス たち”と考えました。この考えは今も変わっていません。
有り難いことに、京都大学の松本総長(当時)が知性を研ぐために必要な古典の中に、この本を入れて下さい ました
http://readersbook.blog.fc2.com/

エントロピーからの発想『エントロピーからの発想』
武田修三郎(著) (講談社現代新書 1983年)


この本を書くきっかけは、限界を超えるにはどのような「ものの考え方」があるのか、またどうすれば 育めるのか、にありました。エントロピーの法則は、熱力学第二法則、あるいは熱平衡の法則と呼ば れる物理では大原則の法則とされるものです。
ただ、全てがこれに従う訳ではなく、現実の世界では、これを超えるものが数多くでています。生命 現象、進化、あるいは、私たちの概念・思考もそうです。これは、限界に抗して発展をし続けます。
この事実をもとに、どのような発想が次の時代に必要かについて書きました。

答えのない時代をいかに生きるか『答えのない時代をいかに生きるか』
武田修三郎(著) (ゴマ書房 1980年)


この本では、潮目に気づいた後、これまでの明確な答えがあった時代から、その答えでは通用しない 「答えのない時代」へのシフトが始まる、と考えました。答えのない時代の為に何を用意するのか、と。 新たな生き方が必要になりますが、その為には、1.どのような時代がきたのか, 2.どのように考え、 そして生き方を見つけてゆくべきなのか、について取りあげました。
限りある中で新たな生き方を見つめようとしたものです。稚拙な議論が多いのですが、今の時代でも 通用する部分もある、と思っています。
崩壊するエネルギー文明『崩壊するエネルギー文明』
武田修三郎(著)
(講談社 1975年)

この本は、1969年に米国オハイオ州立大学で博士号(物理学)を取得後、ノースカロライナ州立大学 フェローに就任、日本に帰国後の1975年、私が34歳の時に出版した。
有難いことに、当時経団連の土光会長に帯を書いて頂いた。36年後の2011年、東日本大震災の年に リメイク版を出すことを決め、「崩壊するエネルギー文明―36年目の再点検」として再出版している。

土光元経団連会長の推薦文
【本の帯】本書を推す  経済団体連合会会長 土光 敏夫
いまやエネルギー・資産問題は、一部の研究者だけのテーマから、地球に住む人間一人一人が 緊急課題としてこれをとらえ、議論すべき新しい段階を迎えた。
これからは、宇宙や自然を征服したのだという思いあがった考え方ではなく、われわれが宇宙や 自然から学ぶという謙虚な気持ちで、資源開発や技術開発を進めなければ、有限な地球の将来を閉 ざすどころか、自らの文明も破壊しかねない。ましてや大部分のエネルギーを外国に依存している 我が国は、世界の相互依存関係に留意しつつ、今後日本経済をどのように変えていくか、そのため にいま何を為すべきかを明らかにしていかなければならない。
本書は、こうした問題意識を根底にすえて、エネルギー文明の将来を案じ、危機克服の道を真摯 に追及している姿が行間からにじみ出ている。政策立案に携わる人々、第一線に立つ経営者、ビジ ネスマン、技術者、科学者はもとより、広く一般の人々も読んでほしい時宜にかなった好著である。

主な著書(海外)



Industrial Ecology – US/Japan Perspectives
(1994 National Academy of Engineering)

International Task Force on Prevention of Nuclear Terrorism
(Contribution,1986 The Nuclear Control Institute)


Preventing Nuclear Terrorism
(Contribution,1986 A Nuclear Control Institute Book)

Reinventing the Research University
(Proceedings of a Symposium held at UCLA on June, 1994)


Creation and Detection of the Excited State Vol.3
(1973, Mrcel Dekker, USA)

寄稿・冊子

  • 2016年東京医科大学雑誌(2016年第4巻第2号 巻頭言)「新たな飛躍の条件」
  • 22009年「危機をチャンスに変える 哲人論」(月刊税理2009年5月号)
  • 2009年「大飛躍に向けたパラダイムシフト」(人口と開発2009年春NO.105号)財団法人アジア人口・開発協会(APDA)発行
  • グリーン・ニューディール政策展望「ブルース・ストークス氏」インタビュー
    (環境ビジネス2009年3月号)
  • NATIONAL SUPERINTENDENTS ROUDNTABLE( 全米教育評議会レクチャー記事 2009年1月)
  • 2008年 原子力平和利用推進と核不拡散強化のための提言(核不拡散問題検討会2008年)「-地球温暖化とエネルギー安全保障の同時解決に向けて-」
  • 2008年3月「21世紀のエネルギーセキュリテイーを考える」(南西地域産業活性化センター講演レポート3. 2008年)
  • 2007年2月「21世紀のエネルギーセキュリテイーを考える」(南西地域産業活性化センター講演レポート2. 2007年)
  • 2005年1月「21世紀のエネルギーセキュリテイーを考える」(南西地域産業活性化センター講演レポート1. 2005年)
  • 2004年 知の転換と新たな伝播の担い手造りのためのイノベーション政策 (地域開発 vol.480 2004年)
  • 2004年 日本の技術品質管理 (テクノカレントNo.363世界経済情報サービス 2004年)
  • 1997年 産学協働と学会活動の進め方 (計測と制御Vol.36 No.8計測自動制御学会 1997年)

研究報告書(詳細資料PDFPDF)         

平成10年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構

独創的産業技術研究開発促進事業 研究成果報告書概要

その他、国内・海外の専門雑誌等に論文多数掲載