<今週の注目記事>パンデミック時代に不可欠な「科学外交 Science Diplomacy」Dr. E. William Colglazier (元米国務長官科学技術顧問)

Dr. E. William Colglazier is Editor-in-Chief of Science & Diplomacy and Senior Scholar in the Center for Science Diplomacy at the American Association for Advancement of Science (AAAS).

https://www.dropbox.com/s/n2vwf61be39oh0t/Colglazier%20Canadian%20Science%20Policy%20Magazine%20Science%20Diplomacy%20After%20COVID-19%20Nov%202020.pdf?dl=0

William Colglazier、Editor-in-Chief、Science & Diplomacy、AAAS(全米科学振興財団))がThe Canadian Science Policy Magazineの2020年11月号 「Science Diplomacy after COVID-19」で、パンデミックと科学、そして外交についての考え方を述べている。

https://sciencepolicy.ca/wp-content/uploads/2020/11/CSPC-Magazine-2020-LQ-01.pdf

なお、同博士はAAAS(American Association for the Advancement of Science)並びにAPS(American Physical Society )フェロー、2016年にUN事務総長が任命したSDGs委員に就任、2011年から2014年まで米国務長官(ケリー、クリントン)科学技術顧問。1994年から2011年まで、米国科学アカデミー(NAS)および全米研究評議会(NRC)のExecutive Board等を兼務。

米国家情報会議(NIC: National Intelligence Council)は、2012年12月に報告書「グローバル・トレン2030:未来の姿」をだした。この報告書は世界の大潮流、米国の役割等を取り上げたものだが、世界の未来には多数の“白い黒鳥(ブラックスワン、確率は極めて低いが大崩壊をもたらすような大きな影響を与える事態)”がいる・・・・中には猛烈なパンデミックや米国の(世界からの)離脱の二羽もいる、とした。
皮肉にも、8年後に、この二羽が同時に羽ばたき、米国のみならず世界を揺るがす危機となっている。
コルグライザー博士は、パンデミックへの米国の対応の遅れは、米国の威信、経済的、外交的、安全保障といったあらゆる面において大きな損失をもたらしたと反省、ただし国を分割し、科学を無視し、真実を語らない大統領のせいだけにすることはできない・・より大きな問題は科学を推進する側にあり、更にパンデミックをデマとし、マスクの着用や社会的距離をとることを望まなかった米国民側にもあった、とした。また、科学政策の導入に際しては、科学の側面だけではなく、文化、価値観、倫理、信頼、あるいは指導者のリーダーシップ、そして政治といった側面からの配慮が必要であり、米国では、これらで対応ができてなかった、とも指摘している。
更に、これまで米国はSDGsの推進等のために、世界での科学外交の定着を支援してきたが、これらでも、1.パンデミックの撲滅、SDGsの向上、南北問題の解消といった複数の目標を同時に推進する必要がある。2.科学協力への国際的な障壁を減らし、各国間の協力と調整を強化する必要があり、合わせて、3.科学に対する国民の信頼を強化、社会の不平等を減らすといった努力も必要だとしている。
今回の国内のパンデミック対応にあたる日本の国民、あるいは関係者にも“白い黒鳥(ブラックスワン)”への対応の遅れが深刻な影響を与えること、予めどのような国内政策をとり、また外交政策を進めるか、考慮すべき事柄を示唆している。