<2025年>

トランプ関税を超えて

~アメリカ発の新たな時代への動き~


トランプ2.0政権の発足から7カ月。世界はいまだにトランプ大統領の高関税政策で揺れ続けている。日本も例外ではなく、その対応に苦慮してきた。しかし、これは単なる通商政策の一断面にとどまらず、戦後体制の根幹に関わる変化の兆しかもしれない。

私が抱いている仮説はこうである。トランプ大統領は、第二次世界大戦後に米国が世界に広めた「アメリカ式リベラリズム(自由主義体制)」の行き過ぎがもたらした弊害を是正しようとしているのではないか。高関税政策も、この文脈で見ると、アメリカと世界との関係を再構築する試みの一環と捉えることができる。こうした行き過ぎは、実はアメリカだけでなく、日本や欧州にも波及している。とりわけ日本は、アジアの中で最も徹底してアメリカ型を導入してきたため、家族や地域共同体の希薄化、産業空洞化、富の偏在といった形で深刻な影響を受けてきた。もちろん、日本はトランプ関税には毅然と交渉で臨み、国益を守る必要がある。だが、それだけでは不十分である。通商問題として対処するだけでは、戦後日本が依拠してきた価値や体制の限界には対応しきれない。

今こそ私たちは、アメリカ社会の変化を見据えつつ、日米が未来志向でどのような協力関係を築いていけるのかを問い直すべき時に来ている。単なる通商交渉ではなく、新たな時代に向けた構造的転換への働きかけが求められている。こうした時代の転換点にあって、私たちは日本が進むべき新たな道筋を見出していく必要がある。
武田アンド・アソシエイツは、この問いに一緒に向き合っていきたいと考えている。

   2025年8月

                                           武田アンド・アソシエイツ

                                           代表 武田 修三郎

                      


<武田アンド・アソシエイツの設立理念>
武田アンド・アソシエイツは、21世紀の育人と研心を考える場とし2005年に発足しました。この考え方の背景には、代表武田が長年親炙した故平岩外四経団連名誉会長(日本産学フォーラム創立者)からの “日本を20世紀に繁栄した小さな島国で終わらせないために将来を見据えた人づくりを考えるように”との示唆があります。産官学の垣根を超えて日本の発展に貢献する広い視野と見識をともに育むための場づくりを目指しています。
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